限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

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【雑談】インド豊かな地域が日本並みの少子化の兆し

データでみるの人口大国インドの少子化

 国連の推計によると2023年、インドは中国を抜いて、人口世界一になりました。
まずは、インドの人口推移についてです。 1960年時点で、人口は4億4,083万人でした。それが2023年に14億2,202万人に達し、現在も大きく増え続けています。国連の推計では、インドの人口は2064年に16億9,704万人でピークを迎えるとされています。そのため、今後数十年間は人口ボーナス期を享受すると予想されます。
また、その人口の内訳ですが、15歳未満人口が総人口に占める割合は24.8%に上ります(2020年時点)。これは、日本の同11.6%(2022年時点)と比べ断然高い数値です。また、日本の平均年齢が48.4歳(2023年時点)なのに対し、インドは同28.2歳です。両国の年齢差は実に20歳に及びます。インドが若いのか、日本人が歳を取ったのか、いずれにせよ、活力という意味ではインドは凄いと思います。
 そのなかで、データを細かく見ていきます。インドの主要州別の出生率です。2020年のインド全体の出生率は2.0となりますが、数値は州ごとに大きく異なります。所得水準が比較的高いとされる北部のデリー準州や西部のマハーラーシュトラ州、南部のカルナータカ州やタミル・ナドゥ州などで、低出生率の傾向があります。1番低いタミル・ナドゥ州は出生率1.4と日本の1.26と大差ないように見えます。逆に所得水準が比較的低いとされる北部のビハール州やウッタル・プラデシュ州などでは、インド全体より出生率が高くなっています。ウッタル・プラデシュ州全体では2.7、州の農村部では2.9となっています。所得水準によって出生率が左右される状況がみてとれます。また、農村部の出生率が2.2なのに対し、都市部は1.6となります。同じインドでも、居住地域によって出生率が大きく異なることがはっきりしています。

過去の日本と比較する

 過去の日本の出生率は1950年に3.65でした。この日本の出生率は、年を追うごとに低下し、1960年には2.0となり。その後、1970年代前半には第2次ベビーブームがありました。その結果、1974年までは、丙午(ひのえうま)などの一部例外を除いて2.0から2.2の間を推移しています。しかし、その後、1975年に2.0を下回って以降は、一度もその水準を回復することはありません。以後、出生率は低水準が続く。特に2022年は新型コロナウイルスの影響もあり、過去最低の1.26まで落ち込みました。
 一方、インドの出生率は、1950年に5.73です。それが1978年に5.0、1991年に4.0、2005年に3.0をそれぞれ下回ります。近年急激に低下し、2020年は2.0まで落ちました。人口を維持するのに必要な出生率(人口置換水準)は、おおむね2.07とされますが、現在のインドはその水準を既に下回っていることになります。今のままの状態が長く続くと、人口減少は避けられないことになるでしょう。

 低下のスピードもあります。日本では、出生率3.0の年から(第2次べビーブームを経て)2.0以下の水準が定着するまでに24年かかりました。これに対して、インドは19年しかかかっていません。日本を上回る速度で少子化が進んでいることになります。

インドの出生率低下の要因

 第一に、インドが長年にわたって取り組んできた人口抑制策です。中国も一人っ子政策がありましたが、インドも人口爆発による資源の枯渇などを危惧した政府や欧米各国からの要求もあり、避妊教育の推進など人口抑制策をとり続けてきました。その結果が出ていると言えます。
 第二に、第2に、女性の教育水準の向上です。2020年のインド全体では、女性人口に占める「大卒以上」の割合は9.9%にとどまります。しかし、少子化が進んでいる、タミル・ナドゥ州(20.5%)、デリー準州(19.0%)はインド全体の平均値の倍以上の数値となっています。
インドは、GDP旧宗主国の英国を抜き、現時点で世界第5位の経済規模となっていいます。さらに2030年までには、ドイツや日本を抜いて世界第3位になるという予測もあります。この結果、より豊かになり、女性の社会進出が進み、晩婚化やインフレによる生活費、教育費の高騰により、少なく生んで、より質の高い教育投資をするカップルが増えても全く不思議ではありません。
 インドに抜かれた人口大国の中国も経済的に豊かになればなるほど、また、豊かな地域ほど少子化が劇的に進んでいます。
 日本も少子化対策が言われますが、実のところ、この流れは、誰にも止められないのではないかとすら思ったりもしました。

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引用:https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2023/5cda3d33e0ecdcb8.html