アメリカで世代間・経済格差が広がっている

アメリカの今を知ることで、今後の経済予想の幅を広げて投資などに役立てないかと、日々、アメリカ経済・アメリカ社会の時事問題をまとめています。
アメリカでは第二次大戦終結後からケネディ政権発足前までの1946年から1959年ごろに生まれた世代がベビーブーマーと呼ばれています。対して、ミレニアル世代として、西暦2000年以降に成人を迎えた世代、あるいは社会人になった世代がいます。アメリカの方が幅が広く対象年齢も違うのですが、日本の団塊世代や団塊ジュニアといった世代のように、称されています。
調査会社ギャラップが最近発表した「世界幸福度報告書」で、米国は前年から順位を8段階下げて23位となりました。同社が12年前に「世界で最も幸福な国」ランキングの発表を開始して以来、米国が上位20カ国に入らなかったのは初めてことです。しかしながら、幸福度の調査対象を60歳以上に絞ると、幸福度は上位10か国に入るそうです。
広がる経済格差

ベビーブーマー世代は地球上で最も裕福だと言われています。米経済誌フォーチュンによれば、同国のベビーブーマーは平均で97万ドル(約1億5200万円)~120万ドル(約1億8800万円)の純資産を持っているとされています。(アメリカの純資産は持ち家も含みます。個人金融資産ではありません)
米連邦準備制度理事会(FRB)のデータによると、2023年第4四半期のベビーブーマー世代は76兆1700億ドル(1京1千億円)を保有し、米国の総資産の51.8%を占めています。対照的に、ミレニアル世代の資産は13兆5,000億ドル(2千850兆円)と大幅に少なく、富のシェアの9.2%に過ぎません。
もちろん、働いてきた期間を考慮すれば、若者より高齢者の方がより資産が多いくなるのは当然の事とも言えます。しかしながら、その資産額だけでなく、他にも若い世代の不満はもっと深いところにあります。
アメリカの若い世代はより良い職を求めるために高学歴を目指す傾向がありますが、そのために組んだ学生ローン(奨学金)が高額になります。ローンを利用した卒業生1人当たりの負債は平均して2万9900ドル(約494万円)とこれまでで一番多く、総額で1兆6300億ドル(約226兆円)に上ります。かなりの負担をしながら学位を得ており、若年層に大きな負担となっています。この学生ローンの大きさはアメリカ経済に影響を与える存在とまで言われており、政治問題化しています。
また、住宅価格の急激な上昇や、COVID-19のパンデミック時に起きたコロナバブルによって住宅や株式などの資産価値を膨らませる経済政策の影響も世代間格差・経済格差を助長したとの指摘もあります。コロナショックはミレニアム世代にとっては、厳しい経済状況になりましたが、政府の補助も出ました。それによって、資産を持つベビーブーマー世代は「貰う側」として、より豊かになった傾向があります。つまり、若い世代を犠牲にして富裕層に不釣り合いな利益をもたらしている言えます。このことを強調するのはニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスでマーケティングを教えるスコット・ギャロウェイ教授です。
具体的に言うと、パンデミック対策としてアメリカ政府は、住宅価格の譲渡利益(キャピタルゲイン)への現在と住宅ローンの優遇策を行いました。その結果、住宅ローンは高騰し、持ち家の無い若い世代は上昇し続ける高い家賃を払うために疲弊していますが、それに対して不動産資産を持つベビーブーマー達を富ませました。また、そこから生じたゆとりは株式市場等に向かい、2020年初頭の急激な下落にもかかわらず、S&P 500は過去5年間で70%以上上昇し、株式市場の投資家の資産を大幅に増加させました。アメリカの株式市場の所有権の80%を55歳以上の人々が占めている現実もあります。株式に投資できない、不動産を持っていない層はより厳しい状況になります。
ちなみに、最近のFRBのデータによると、米国で最も裕福な1%の純資産総額は、昨年末に過去最高の44兆6000億ドルに達しました。CNBCは、この数字が2020年から約15兆ドル(49%)増加したと報じました。アメリカの全国民資産が120兆ドルとも言われていますから、1%の富裕層が全国民の資産のおよそ3分の1を所有していることになります。
また、巨額の債務問題も世代間の問題ととらえる考えもあります。
少子化を産んだ経済的現実

ハーバード大学を拠点とする調査イニシアチブ「オポチュニティ・インサイツ」の2016年の調査によると、1940年代に生まれた子どもの90%以上が、30歳の時点で親よりも多くの収入を得ていると指摘し、しかし、1980年代に生まれた子どもは、親よりも稼いでいる子どもは半数に過ぎなかったとしています。老齢化する世代が裕福で黄金の時間を過ごしたのに比べ、奨学金や住宅費で苦しむ現役、若年世代という構図です。これらのデータを踏まえ、先に出たギャロウェイ教授は「30歳から34歳の人たちは、1990年には60%の人が子どもを産んでいました。今は27%です」と若者の婚数の減少、少子化を指摘しています。アメリカではマジョリティーの白人の出生率が下がり続け、ヒスパニックやアジア系の出生率が高いことが近年指摘されていますが、その背景には、こういった世代間格差、経済格差があると言われています。
それ以外にも、個人差、考え方の差はありますが、ベビーブーマーが公害などをまき散らし、それらの企業で働く、あるいは投資して資産を増やしたことに対して、環境に対する意識が相対的に高いミレニアム世代が、それら公害の後始末をつけなければならないことに対して、憤慨しているとも伝えられています。
簡単に判断できる問題ではありません。ベビーブーマーがアメリカを作ったともいえますが、逆の見方もできます。そもそも、正直に言って、どこの国にも世代間格差はあると思います。日本においても高度成長期の日本人と就職氷河期では差があるとの指摘もあります。アメリカにも同様に、世代間の経済格差などがあることをまとめました。
当ブログにお越しいただきありがとうございました。
引用:https://www.businessinsider.jp/post-224474
引用:https://finance.yahoo.com/news/not-having-kids-nyu-professor-101400588.html
引用:https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/06/02ce718b1b316bd4.html