限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

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米Goggleの解雇問題・・・いつの間にか株主重視、労働者軽視の企業へ

Googleの労働文化

 テクノロジー系の企業はコロナ渦で順調に業績を伸ばしていました。コロナ景気とも言える状況で雇用も増えましたが、一昨年あたりから本格的な脱コロナの中でGAFAなどの企業でも大規模解雇が発生しました。その問題は今も尾を引きづっており、Googleの12000人の解雇問題が報道されると、日本では「アメリカではそんなの当たり前」といった意見が多勢なのですが、本国アメリカでどのように報道されているか、ちょっと見てみたいと思います。
 Googleは2007年にフォーチュン誌の「働きがいのある企業トップ100」のトップになり、以後、働き甲斐のある企業代名詞とも言われてきました。オフィス内のクライミングウォールや無料のグルメ料理から、卓球台、職場でのマッサージや育児まで、従業員に大規模な福利厚生を与えていました。Googleの創業者であるラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏は、2004年の最初の株主レターで、「Googleは従来の企業ではない」、「Google社員と名乗る当社の従業員がすべてである」とし、株主に対して「(従業員の)福利厚生を時間の経過とともに減らすのではなく、追加することを期待する」ように伝えました。つまり、株主に配当金重視で従業員の待遇を悪化させるようなことはしないように強烈にくぎを刺したのです。そしれそれはしばらくの間守られてきました。ウォール街からの金銭要求に屈することなく成長してきました(成長したから守られたのかもしれませんが)。
 しかし、転機が訪れます。2015年にモルガン・スタンレー最高財務責任者(CFO)を務め、ウォール街で最も影響力のある女性の一人であったルース・ポラットが、グーグルのCFOに就任し、様々な改革をしました。企業文化の修正も手掛け、Googleを象徴すると言われた行動規範から "Don't be evil(悪になるな)"が削除され、"Do the right thing(正しいことをしろ)"に置き換えられました。ウォール街的なものを排除してきたGoogleの企業文化が変わっていきました。
 2017年と2018年には、従業員がセクシャルハラスメントや差別の問題に対してストライキが起こるなど、多くの問題が噴出しました。この一連の労働問題を経てGoogleはより一層、透明性が無くなり、かつての企業文化が失われたと、元従業員は発言しています。かつて有名だった福利厚生も削減される一方となっていきます。
 一部のメディアは、Googleは驚異的な成長力をもって、ウォール街的なものに対峙してきたが、巨大企業となり、かつてのような劇的な急成長は望めず、また、テクノロジーの進化により、莫大な将来投資を必要とするため、端的に行って「従業員を大切にする余裕が無くなっている」のではないかと分析しています。
 昨年の12000人の大規模解雇では、実績のあるベテラン社員や健康上の理由で休職中の社員、そして第2子を出産中の社員までもが、ほとんど説明もなく解雇されました。今回の解雇を巡る運動は今年に入っても完全には収まっていません。このような事は10年前のGoogleならあり得なかったことだと言えます。アメリカ国内では(州によって解雇規制は異なります)、当たり前であっても、Googleが冷徹な解雇をすることは、Googleを良く知る人ほど驚きであり、当たり前ではなかったのだと思います。乱雑な長文をお許しください。

 当ブログにお越しいただきありがとうございました。

参考:Google was beloved as an employer for years. Then it laid off thousands by email | CNN Business
参考:Google broke US law by firing workers behind protests, complaint says | Google | The Guardian
参考:Google’s Once Happy Offices Feel the Chill of Layoffs - The New York Times (nytimes.com)