限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

自分の興味があるアメリカ経済や投資、普段の雑記的なことを備忘録的に書いていきたいと思います。

【アメリカの今】レッドロブスターのエビを食べつくしたのは客ではなくハゲタカファンド達でした

エビ食べ放題で破綻❓

 このブログは雑記ブログですが、アメリカの今を知ることで、今後の経済予想の幅を広げて投資などに役立てないかと、日々、アメリカ経済・アメリカ社会の時事問題をまとめています。

 レッドロブスターが破産しました。FNNの報道では「新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)収束後も客数が回復せず、さらに、2023年に実施したエビ食べ放題メニューで想定を上回る注文があり、損失が拡大したという。」とされています。他のニュースでもエビ食べ放題が収益を圧迫して倒産したと伝えられていますが、アメリカのニュースでは少々違うスタンスで取り上げられています。

 レッドロブスターは1968年に既に成功していた実業家のウィリアム・ビル・ダーデンが始めた事業です。彼は、まだ、1930年代の人種差別が激しかった時代に、どのような人種でも店に迎え入れていたことが語り継がれています。有名な歌姫ビヨンセもフォーメーションという曲で、自らの生い立ちや人種について歌うとともに「When he fuck me good,I take his ass to Red Lobster」(私をうまく抱けたならレッドロブスターに連れて行ってあげる)と歌っています。アメリカを象徴する飲食店とも言えます。

なぜ、倒産したのか

 レッドロブスターは創業者が晩年、事業資金に行き詰まり、食品大手のゼネラル・ミルズに売却しました。その後 、成長を続けます。その過程で、創業者の名前を取りダーデンレストランとして分社化し、ニューヨーク証券取引所に上場します。しかし、ヘッジファンドが株式を取得し、多額の利益の分配を行うよう強く圧力をかけます。その過程で、ダーデンレストランはゴールデン・ゲート・キャピタル・パートナーズにレッドロブスターを売却します。しかし、この売却は、他の株主からの拒否反応も強く、当時のダーデンレストランのCEOはレッドロブスター売却と同時に辞任しています。
 一方、レッドロブスターを買収したゴールデン・ゲートはレッドロブスターの店舗の入る土地を一斉に売却し、店舗から市場価格より高い地代を支払う契約を結びます。土地の売却でゴールデン・ゲートは収益を得る一方で、レッドロブスターの収益は大幅に圧迫されました。その後、ゴールデン・ゲートはバンコクに拠点のある投資家グループのタイ・ユニオン・グループに売却します。水産加工のブランドも持つグループです。このタイ・ユニオンは必要以上のエビを高額でレッドロブスターに卸したとされます。その結果、地代と高い材料費に圧迫されてレッドロブスターは破産することとなりました。
従業員は解雇となりました。残った店舗に行く案も提案されましたが、時給19ドルのグリルの仕事が17ドルになり、断ったそうです。アメリカの最低賃金スレスレですね。アメリカの労働階級や中流階級に愛されたレストランは強欲なハゲタカたちによって憂き目にあってしまいました。資本主義の裏面を見るような話です。アメリカ経済の1面ともいえると思いました。近年ではプライベート・エクイティが買収した企業の破綻率が高いことが批判になり。例としては病院等ヘルスケア関連を買収し、その土地を売却して病院に貸出し利益を得る一方で病院自体が成り立たなくなる問題が置き続けており、社会問題化しています。今回の件は、メディアだけだはなく議会からのプライベート・エクイティに対して批判を高め、疑問が噴出する事態となっています。
  メディアにもエビを食べつくしたのは強欲な客ではなく、強欲なプライベート・エクイティ企業達であったと書かれています。

 当ブログにお越しいただきありがとうございました。

引用:The Red Lobster Chapter 11 saga is a sign of troubles to come (nypost.com)
引用:How private equity rolled Red Lobster (nbcnews.com)