限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・節約・雑記です。

40代サラリーマンです。地元と東京を行き来する日々。自分の興味があるアメリカ経済や投資、節約術、子育て、普段の雑記的なことを備忘録的に書いていきたいと思います。

【ドジャース水原通訳解雇】ギャンブル依存症をめぐる日本とアメリカの環境の違い

大谷選手の通訳が横領

news.yahoo.co.jp

 

MLB大谷翔平選手の通訳水原一平さんが、ロサンゼルスドジャースを解雇されました。
大谷選手の個人預金から少なくとも45万ドル、日本円で7億円近い資金をカリフォルニアのオンラインカジノに送金していたようです。大谷選手が同意していたとの報道もあり、安易な断定はできない状況です。アメリカの多くの州では合法化されているオンラインカジノですが、カリフォルニアでは禁止されていて、事業者が逮捕されました。その流れで水原通訳の賭博が発覚し、MLBの定める関係者は違法な賭博行為をしてはならないとのルールに抵触し、球団から解雇されました。チームには「私はギャンブル依存症だ」と告白したと報道されています。驚いて、自分がわかる範囲で記事を書いてみたいと思いました。

ギャンブル依存症


ギャンブル依存症が「病気」と認知されてある程度時間が経つと思います。アメリカ精神医学会がアルコールや薬物などによる「物質関連障害および嗜癖(しへき)性障害群」と同様に分類している症病でもあります。ギャンブル依存症対策を進める、厚生労働省消費者庁のHPでは次の通り書かれています。
「ギャンブル等依存症とは、ギャンブル等にのめり込んでコントロールができなくなる精神疾患の一つです。これにより、日常生活や社会生活に支障が生じることがあります。例えば、うつ病を発症するなどの健康問題や、ギャンブル等を原因とする多重債務や貧困といった経済的問題に加えて、家庭内の不和などの家庭問題、虐待、自殺、犯罪などの社会的問題を生じることもあります。」と相談窓口に本人や家族が訪れるよう促し、治療を進めています。1970年代に世界保健機構(WHO)で病気と判断されました。

ギャンブル依存症への対策

日本の場合

日本では、内閣官房厚生労働省消費者庁金融庁等が横断的な対策を掲げていて、全国の地方自治体に依存症相談員を配置しています。例えば、福祉センター:ギャンブル等依存症相談窓口などを設けて相談の上、病院や自助グループを紹介します。知見のある病院や自助グループにつないだりします。
ゲーム依存の治療でも有名な独立行政法人国立病院機構久里浜センターではギャンブル依存症の治療も行っています。依存症の治療では第一人者的なところです。ここでのギャンブル依存症の治療は主に、行動療法や認知行動療法がおこなわれます。(うつ病を併発した場合は薬物治療を混ぜて行います)

行動療法・・・問題となる行動に体系的に暴露させ、ギャンブル衝動を抑える技術を学ぶ治療法です。
認知行動療法・・・不健康で、不合理で、後ろ向きの考えを明確にし、それを健康的、合理的、前向きな考えに置き換えることに焦点を当てている治療法です。
これらの治療に加えて自助グループに入るなどして依存症の回復を目指していきます。

アメリカの場合

アメリカでも治療は病院において専門家によって行われます。CBT(行動療法)などが施されます。この点は日本がアメリカの先進事例に学んでいますから当然でしょう。
ただ、アメリカの場合異なるのは、依存症の告白が文化的にポジティブにとらわれるケースも多く、生活が破綻する前に本人が依存症であることを告白することを歓迎する傾向があります。そのためギャンブル依存症などのカウンセリング機関や病院が日本より多く環境が発達していると言われます。日本では独立行政法人国立病院機構久里浜センターの調査ではギャンブル依存症は本人の自己責任であると考える日本人の割合が72.6%と極めて高い数値が出ています。日米ともに依存症および依存症予備軍をキャッチするために様々な取り組みが必要で、行政や関係業界を通じてカウンセリングに応じるよう呼びかけていますが周囲の理解という点では日米は異なります。この辺りは文化的な違いが出ていますね。

ここでアメリカらしいのは、民間企業がギャンブル依存症対策に興味を示しているということです。ギャンブル依存だけではなくアメリカに多いオピオイド(鎮痛薬)依存やアルコールや喫煙等にもまたがって対策を提供する事業を始めた企業が多くあります。それは、依存症の治療が入院による特化型の治療を行うことが多いためです。逆にその後のフォローが少ないと考える面があり、その後の経過観察及びフォローアップを行う需要があるという事で、多くのスタートアップ企業が誕生しました。モバイルを通じて、面談、検査を行ったり、ギャンブル依存症患者のために制限のあるデビットカードを渡し、家計管理を行います。家計管理がうまくいった場合、月額100ドルの報酬(カウンセリング費の返還)を与えるなど、様々な形で依存症患者を助け、また、それをビジネスにしようしています。オンライン診療がすすんだアメリカらしさもあるでしょう。

日本では民間企業が報酬を得て依存症患者の治療・生活のサポートを行うというのは違和感がある方が多いのではないでしょうか?アメリカならではだと思います。実験的という意味ではアメリカのギャンブル依存症の治療がより進むのかもしれない、とも思いました。

水原元通訳も解雇後は(刑事手続きがどうなるかは不明ですし、大谷選手の顧問弁護士に告発されたとの報道も大谷選手が同意していた送金だったとの報道もありますが)、将来的には治療を始めることが予想されます。日本生まれ、南カリフォルニア育ちの水原元通訳がどのような道を歩むのかは分かりませし、大谷翔平選手とどのようにお金の話を解決するのかもわかりません。しかしながら、この問題の解決後には、本人にあった治療を受けて回復することを祈るばかりです。

当ブログにお越しいただきありがとうございました。