脱炭素に向けて原発へ舵を切る

アメリカで原子力発電所の使用期限延長、新規原発の開発、設置への動きが急ピッチで進んでいます。
バイデン政権は9月30日、パリセーズ原子力発電所(ミシガン州)の再稼働に向けて、総額最大28億2,000万ドルの財政支援を行うと発表しました。この原発は2022年から芸剤的合理性の観点から停止されていたものが、脱炭素の動きや産業活性化のために再既往するものです。同時期に、米IT大手各社も原子力発電への投資を相次いで発表しました。マイクロソフトは9月下旬、2019年に稼働停止したペンシルベニア州のスリーマイル島原子力発電所1号機の再稼働を支援し、20年間の電力購買契約を締結しました。1号機は2019年に稼働を停止しており、再稼働への動きとなります。スリーマイルの事故は有名ですが、事故を起こした2号機は再稼働しません。また、アマゾンは10月16日、データセンターへの電力供給を目的に小型モジュール炉(SMR-米国次世代原子力発電のカイロス・パワーが開発・設置する小型モジュール原子炉)の建設への投資を発表。グーグルも同月14日、SMRベンダーのカイロス・パワーと電力購買契約を締結しました。バイデン政権は、2050年までのネットゼロ目標達成に向け、原子力エネルギーの活用を重視している。
アメリカがかなりのスピードで原子力発電所を再稼働、新規設置する動きを示しています。テック大手が出資しているのは、データセンターやAIの開発を進めていくうえで、大量の電力を必要としている事、また、アメリカでは脱炭素化を2050年代までに達成する事が目標となっている事、企業のイメージの向上などがあげられます。カリフォルニアでも老朽化した原発の使用期限延長が討議されており、この動きは加速することがあっても減速することはないでしょう。
アメリカでは、風力や太陽光などの再生可能エネルギーだけでは脱炭素は不可能だとしている面もあります。こういった動きは日本でももっと注目すべきだと思います。石油などエネルギー自給率が100%を超えるアメリカですら、スリーマイルの原発を再稼働させている中、日本では、綺麗ごとだけでやっていけるような余裕はないと思いました。
なお、日本企業の動きとしては、住友商事グループが10月15日、バージニア州で太陽光・蓄電プロジェクトを展開するCEPソーラーとジョイントベンチャー(JV)の設立を発表しました。同JVは1.5ギガワット(GW)超の太陽光発電・蓄電などの再エネプロジェクトを建設、市場展開する計画で、2025年後半の着手を目指しています。このような投資が日本国内でもっと活発になるように注目することもさらに大切だと思いました。
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