限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

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【アメリカの今】米国政府がいかに半導体に本気かまとめました

アメリカの半導体政策

 このブログは雑記ブログですが、アメリカ経済・アメリカ社会の今を知ることによって今後の投資活動や資産形成に役立てないかと思いながら、記事を書いています。

 米国政府の半導体戦略を助成している企業ごとにまとめました。米国商務省は様々な企業に対して助成をしており、目的も様々です。米国政府がどんな名目でどのような企業の半導体を育成しようとしているのか知っておくことは、今後の国際経済を知るうえで重要だと思い、まとめました。2022年8月にCHIPSプラス法が制定されました。この法律は米国内半導体産業の振興を目的に、半導体製造施設の建設や拡張などを行う企業に対して、390億ドルの助成と25%の投資税額控除を行うほか、研究開発を行う企業に110億ドルの助成などを規定しています。以下、その実績がこの1年未満の間に次々と出てきました。
 2023年12月11日 BAEシステムズ・エレクトロニック・システムズ(ES)3,500万ドルの助成。F-35戦闘機の半導体を生産しており、その半導体の生産量を4倍にするために助成
    2024年1月4日 マイクロチップ・テクノロジー1億6,200万ドルの助成。成熟ノード半導体等を生産している。成熟ノードとは20nm以上の古い製造プロセスで作られた半導体で、低コストで生産されます。これらは電気自動車(EV)を含む自動車、洗濯機、携帯電話、航空機、防衛産業基盤などの生産に不可欠な部品とされています。
 2024年2月21日 グローバルファウンドリーズ15億ドルの助成。こちらは最新鋭200~300ミリメートル(㎜)の半導体製造で、今後の最新半導体への将来投資となります。
    2024年3月22日 インテル85億ドルの助成。先端ロジック半導体施設2カ所の新設と1カ所の更新。インテルは今後5年で1000億ドルの投資を予定しておりその一環となります。ロジック半導体とは情報の処理や論理演算・制御を行う半導体でPCやスマホにも用いられます。
 2024年4月9日 台湾積体電路製造(TSCM)66億ドル助成。TSMCは、アリゾナ州の第1工場では、4ナノメートル(nm)プロセスの半導体を2025年前半に、第2工場では、3nmプロセスに加え、世界最先端の2nmプロセスのものを2028年に生産開始予定としています。そして、今回助成対象の第3工場では、2nmまたはそれ以上の最先端プロセスを用いたチップを生産し、2030年末までに生産を開始するためへの将来投資となります。半導体のトップ企業のアメリカ誘致策となります。
   2024年4月16日 韓国サムスン電子に助成。金額は今後検討されるとしていますが巨額になる見込みです。政府は韓国や台湾など、半導体の研究開発施設やパッケージング工程がアジアに集積する現状を指摘し、米国内に細心の半導体の研究開発施設を持つための投資としています。ここでは防衛品に使う最先端半導体なども研究・開発されます。
    2024年4月26日 マイクロン60億ドルの助成。別途75億ドルの融資。最先端DRAMチップ生産に特化した、4つの「メガファブ」工場計画の最初の2工場を建設。政府によるとワイヤレス通信、パーソナルコンピューティング、高性能計算、自動車、人工知能(AI)などの先端技術にとって重要な部品である最先端DRAMチップの生産は、すべて東アジアで行われているため、アメリカの拠点づくりを推進するためです。
    2024年5月14日 ポーラーセミコンダクター1.2億ドルの助成。自動車、航空宇宙・防衛、オプトエレクトロニクス、微小電子機械システム(MEMS)、医療機器に使う200ミリメートルウエハーの供給拠点への助成となります。ウエハーは半導体の本体部分ともいえる、ICチップのもととなるものです。ちなみに日本のサンケン電気が少数ですが株主となっている会社です。
    2024年5月27日 アブソリックス(韓国の化学素材大手SKC関連会社)に7,500万ドルの助成。半導体関連の新素材製造のためへの助成です。高品質のガラス基板が得意分野の企業です。
  2024年6月13日 ロケットラボ2,390万ドルの助成。この会社の化合物半導体(従来のシリコン製と違い二種類以上の元素を化合させることで生成した半導体で高速大容量、高効率)で構成される宇宙用太陽電池を生産しており、ミサイル認識システムや宇宙望遠鏡、米国航空宇宙局(NASA)のアルテミス月探査など米国の重要な宇宙プログラムに利用されています。この化学物半導体への工場の拡張などが目的です。

 額も大きいのですが、スピード感とグローバルな投資が凄まじいと思います。それだけ、アメリカが本気だということだと思います。日本政府も半導体に投資をしています。異論もあると思います。ただ、こういう現実もなかなか報道されないので、まとめてみる価値があるかと思い記事にしてみました。

 当ブログにお越しいただきありがとうございました。

 参考:バイデン米政権、米ロケットラボに最大2,390万ドルの助成発表、CHIPSプラス法で10社目(米国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ (jetro.go.jp)