限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

自分の興味があるアメリカ経済や投資、普段の雑記的なことを備忘録的に書いていきたいと思います。

【アメリカの今】富裕層が低率の税金の州に逃げる影響

富裕層の租税回避

 このブログは雑記ブログですが、アメリカ経済・アメリカ社会の今を知ることによって今後の投資活動や資産形成に役立てないかと思いながら、記事を書いています。

 ニューヨーク州では毎年100万ドル以上の収入を得ている人は、納税申告者のわずか1.6%を占めているに過ぎません。しかし、州の個人所得税総額の44.5%を支払ったと、ニューヨーク州会計監査官が税に関する報告書で述べています。カリフォルニア州では、州の所得税のほぼ半分が上位1%の所得者から徴収されています。
    ニューヨーク市もその傾向は顕著で、上位1%の申告者が総税額の48%を支払い、次の9%が25%の税金を支払い、次の40%が25%の税金を支払い、下位半分が税金の約2%しか支払っていないことがわかります。

 ブルームバーグの記事にはこう書かれています。

ニュージャージー州のテターボロ空港とロングアイランドのアイスリップ空港では、午後11時42分や午後11時54分などの時間帯にフロリダ行きの数十機のプライベートジェットが離陸します。プエルトリコのサンフアンからの定期便が、真夜中から約15分後という、一見目的を持った時間にJFK空港に到着します。一方、税理士は、午前12時少し前にジョージ・ワシントン・ブリッジのニュージャージー州入り口付近で高級SUVでアイドリング待機し、州境を越えてニューヨークへ入る前に時計が回るのを待っていたクライアントの話をしています。」これは、ニューヨークでは184日を過ごせばニューヨーク在住者と見なされ、全米内でも州税が高いと言われる税金を払わなければなりません。富裕層が州税のないフロリダ州テキサス州に拠点を構え、しかし、実質の本拠地はニューヨーク(あるいはカリフォルニア)で過ごす生活スタイルを過ごすことが珍しくありません。
   そのため、その富裕層の人々が1年間どこでどのくらい滞在していたかを示すアプリの開発が盛んになっています。「TaxDay」というアプリケーションはペットの所在地までAIを駆使して滞在時間を示し、ユーザーがニューヨークで過ごした時間は184日未満であることを証明してくれます。

コロナ渦以降

 コロナ渦以降、リモートワークをする富裕層が増えて、ニューヨークやカリフォルニアから州税の安い地域に移住する人々が増えています。

 前述したとおり、富裕層の納める税金が州の所得税の半数を占めるニューヨークやカリフォルニアではこれは非常に大きな影響があるため、各州の税務署は調査を厳しくしています。その反面、別の追跡システムであるMonaeoは、ユーザーの位置を自動的に記録して、ユーザーの居場所の詳細な記録を作成します。10年以上前に開発された古いアプリですが、コロナのパンデミック以降、ダウンロード数が大幅に増加したと言われています。他にも、2021年には、生体認証データを使ってユーザーの居場所を証明する居住追跡アプリChronoが販売されました。
    これに対して、州側も黙ってみているわけではなく、ニューヨークの税務署では、184日に関わらず、ペットが死亡した日と埋葬した場所を根拠に課税をしようとしたケースや健康器具の自転車こぎの設置場所を証明させられたケースもあるそうです。税務官の数も数百人にのぼり、他州をはるかに上回っています。
     実質的な居場所を求めて、富裕層と州の税金の監査人のせめぎあいが続いています。

 最後になりますが、こういった租税回避を徹底して行う富裕層がいる反面、富裕層税を課しても富裕層の移住がほとんど見られなかったマサチューセッツ州のような事例もあります。

富裕層へ増税をした州から富裕層は実際に逃げたのか?#税金 - 限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

   この富裕層を巡る大きな動きは日本でも本格化してくるのかもしれないと思いました。
    当ブログにお越しいただきありがとうございました。

引用:How to Avoid State Taxes? New York Rich Use Private Jets - Bloomberg