限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

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【アメリカの今】平均出産費用558万円でも次々潰れるカリフォルニア産婦人科事情

カリフォルニアの産科が危機に

 このブログは雑記ブログですが、アメリカ経済・アメリカ社会の今を知ることによって今後の投資活動や資産形成に役立てないかと思いながら、記事を書いています。

 アメリカの高額な出産費用と産科事情です。まず、カリフォルニアは出生率が全米の中では1.51人(日本は1.2人)と全米50州の中では43位と低くなっています。ちなみに全米の出生率は1.67人となっています。

 カリフォルニア州の出産費用の平均は公的病院では165,000ドル(約256万円)、私設病院では36,000ドル(558万円)となります。日本の10倍ですね。ここから、個人が入っている保険や州の保険でカバーされ、自己負担額はだいたい10%~30%となります(お産の費用のみ)。出産以外の入院費などを合わせると1万ドル(155万円)を超えることはごく普通にあり、中流家庭どころかアッパーミドルの家庭でも、奨学ローンに住宅ローンと合わせて出産ローンを組む家庭は珍しくありません。

 アメリカではざっくりですが、保育料で月々1500ドル(約23万円)程度しますし、私立学校に通わせれば、高校なら1年で2万ドル近くします。ここまで高額な費用が掛かるのに日本より出生率が高いのは驚きです。移民が子供を産むイメージを持つ人もいると思いますが、白人の出生率が全米で1.5人程度ですので、アメリカ人自体が出産に積極的なことが示されています。将来に対して、ポジティブで楽観的なイメージをもつアメリカだからこその現象だと思います。(少し話がそれますが、中絶の問題もここに行きつく面があります)

カリフォルニアの産科が潰れる

 カリフォルニア州では過去10年で約50か所の産科病棟が閉鎖されました。カリフォルニア州では出生数が1992年は62万人だったのが、2022年には約42万人に減少しています。しかし、その出産数の減少率を上回るペースで産科の閉鎖が進んでおり、住民や識者から将来を心配する声が上がっています。
 ロサンゼルスではこの10年で17の産科病棟が閉鎖されていますが、このうち13が営利企業が運営する病院です。これら営利企業やファンドが経営する病院は公的病院の13倍もの営業利益を稼ぎ、分配金を資本家に支払っています。
    医療ケアの全米チェーンであるプライムヘルスケアが所有するセンティネラメディカルセンターは、2023年に産科を閉鎖しましたが、近年の営業利益率は平均10%でした。カリフォルニア州内の全病院の利益率が2%しかないなかでは、5倍もの収益の高さとなりますが、「出生数の低下」を理由に産科を閉鎖しました。別の全国チェーンであるパイプライン・ヘルス・システムは、2020年に産科病棟を閉鎖しました。同病院は、分娩・分娩サービスを閉鎖する前の5年間で、年間平均16%の利益率を計上していました。メディアや識者の見方は「赤字に陥りがちな産科を費用の面から廃止したのだろう」と指摘しています。
     カリフォルニアの出産で主に中低所得者の州民が頼るマーティン・ルーサー・キング・ジュニア・コミュニティ病院は地域の黒人コミュニティーの中にある最後の病院です。しかし、この病院は昨年4,200万ドル(約65億円)の赤字を出し、ロサンゼルス郡から2,000万ドル(約31億円)の補助を受けてしのぎました。しかし、危機にあることに変わりはなく地域から不安の声が寄せられています。
     カリフォルニアでは州の公的保険で出産費用の71%を助成する改正がなされましたが、それでも市民の負担率は全米の中でも高く、また、営利企業の運営する連鎖的な産科閉鎖には直接の効き目もありません。もはや、連邦政府が介入する時期であるとの声が強く出ているそうです。アメリカの出産事情の一部でしたが、皆さまどう思われますでしょうか?

 当ブログにお越しいただきありがとうございました。
引用:Money-making L.A. hospitals quit delivering babies. Inside the fight to keep one labor ward open. | AP News
引用:California’s Plunging Birth Rates - Public Policy Institute of California (ppic.org)