限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

自分の興味があるアメリカ経済や投資、普段の雑記的なことを備忘録的に書いていきたいと思います。

日本アニメの製作委員会方式がアメリカで不評な件について

日本のアニメ制作の要が不評

 経済産業省の管轄団体が「アニメ関連サービス・商品に関する米国市場レポート
(米国有識者インタビュー等に基づく分析レポート)」というものを出しました。そこには様々な情報があり、複数回ブログで取り上げているのですが、製作委員会に対する苦言も多かったのでピックアップしました。
 近年、米国で成功した「ONE PIECE」、「鬼滅の刃」、「俺だけレベルアップな件」、「君たちはどう生きるか」などの IP のマーケティングで共通した特徴として、①日米の関係者が早くからマーケティング戦略を米国(世界)向けに練ることができていた点と、②リリースやイベントが日米(世界)でほぼ同時に行われたという 2 点が挙げられるそうです。
 日本の場合、制作委員会方式をとることが多く、これらは、海外への宣材の提供なども遅く、次回作への時間も長く、映画館で上映してからビデオのリリースタイミングも遅いと言われています。また、ジブリ作品などは当初から世界配信を目的としてキャンペーンを張っていたが、そのような作品は少なく、制作委員会は硬直的で海外配信に対して、消極的かつ海外文化について考えていないと指摘されています。
 近年の米国では映画館での上映から数週間で動画配信に至るケースも多く、また、米国では国内でも時差がある通り、西部や東部でも価値観や生活リズムも異なるため、日本のアニメ制作が、日本国内でやっているような単一的、瞬間的なキャンペーンはあまり意味をなさず、長期的、多面的な戦略が必要がと指摘されています。
 特に、日本でのリリースやキャンペーンは、インターネットの普及により、日本企業が思っている以上に世界中のファンが同時に確認・認知していることに注意しなければならないとか。無数のコンテンツで溢れかえる中、世界でのリリースや配信が日本に比べて遅れると、米国向けリリースがなされる頃にはファンの関心は失われてしまうそうです。
 他にもアニメがヒットしても、キャラクターグッズは出版社や映画会社ではなく、委員会内のおもちゃ会社などが手掛け、アニメのキャンペーンとは別に小売店へのキャンペーンを行うので、グッズ投入の時期が遅れ、グッズが販売されるころにはアニメへの熱が冷めてしまい、ヒット作の誕生に結びつかない点もあります。
 この報告書には書かれていませんが、製作委員会方式の短所は様々に言われているところであり、各業種につき一社の参入しか認めず、負担する予算の配分も画一的で、一部企業の互助会のようになっており、とびぬけた作品が出ないと言われています。また、この報告書でも指摘されていますが、一度ヒットした作品の次回作までに2~5年かかることも珍しくありません。これも、リスクを嫌った製作委員会が、長期でアニメ制作スタジオを抑えることをしないから、とも言われています。有力なアニメ制作スタジオは、単発アニメとして制作を手掛け、当然、そのアニメが上映される頃には別のアニメの制作に入っています。ですので、ヒットをしても、改めて同じスタジオのスケジュールを抑えるのが、数年先になる、といった事情もあるそうです。
 リスク分散にばかり熱心で、優れた作品が出てこない、あるいは、出てきても、それを基に大きな収益を出し、アニメ産業全体が潤うことが少ないというのは、アニメに限らず、日本の経済界全体に言えることではないでしょうか?せっかくの日本のコンテンツ力を活かせないのは残念です。
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