限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

自分の興味があるアメリカ経済や投資、普段の雑記的なことを備忘録的に書いていきたいと思います。

新日本製鉄とUSスチール・問題は米国中西部の白人労働者

ハリス、トランプともに買収反対

 最近のニュースを見ていると、バイデン・ハリス政権は、日本のコングロマリットである日本製鉄へのUSスチールの149億ドルの売却提案を阻止する意向です。トランプも明確に買収に反対しています。
 USスチールのCEOであるDavid Burritt氏が、連邦政府が合併を頓挫させるために介入した場合、同社は製鉄所を閉鎖し、本社をペンシルバニア州ピッツバーグから移転する可能性が高いという警告にもかかわらず買収阻止への発言は止まりません。USスチールの株価は、政府が合併を阻止するのではないかと報じられた後、20%以上急落しました。市場は買収された方がUSスチールにとって良いと判断している証だと思われます。

大統領選

 アメリカ大統領選挙は、州ごとの勝者総取り方式です。得票数で勝敗が決まるのではありません。投票結果によってそれぞれの候補が獲得する「選挙人」の数で決まります。「選挙人」はあわせて538人。過半数の270人を獲得した時点で勝者が決まります。その「選挙人」は各州と首都ワシントンに人口などに応じて割り当てられています。そして、ほとんどの州で「勝者総取り方式」、つまり、1票でも上回った候補が、州の選挙人すべてを獲得する方式を採用しています。そのため、全体の得票数で上回るよりも、激戦州で勝利し選挙人の数を積み上げることが重要になってくるのです。
 ここでポイントになってくるは、共和党民主党が接戦を広げ、かつ、選挙人の多い「激戦州」です。特に話題になるのは、支持率の差が最も小さいのが東部ペンシルベニア州です。ここは、選挙のたびに有権者の動向が揺れる「スイング・ステート」です。また、製造業が衰退した地域、「ラストベルト」の一帯に位置します。
 
アメリカはデジタル企業が莫大な収益をもたらす半面、1980年以後は、日本やドイツに製造業では負けてしまい、今では中国などが製造の中心にいます。そのため、この製造業が衰退した地域の労働者には企業買収は死活問題となります。つまり、共和党(トランプ)、民主党(ハリス)ともに、ペンシルバニア州に多い、白人労働者への迎合がかかせないのです。
 ニューズウィークでは「(ペンシルバニアを含む)米国中西部の労働者はITスキルを磨くことなく、現在の地位に固執してばかりの労働者層」と厳しく指摘していました。
 工場も移転せず、労働者の雇用確保を約束している新日本製鉄が親会社になることが、この中西部の白人労働者の利益につながるのですが、それが理解されず、11月の大統領選に突っ走っている現在の状況は誰も幸せにならないと思います。

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