限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

自分の興味があるアメリカ経済や投資、普段の雑記的なことを備忘録的に書いていきたいと思います。

【アメリカの今】65歳で引退できず「もっと働け⁉」アメリカ人高齢者の憂鬱

65歳リタイアは早すぎる

 アメリカの今を知ることで、今後の経済予想の幅を広げて投資などに役立てないかと、日々、アメリカ経済・アメリカ社会の時事問題をまとめています。

 世界最大の資産運用会社であるアメリカのブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)が米国の社会保障制度の維持や現在のアメリカの人口動態を指して、米国の社会保障制度への危機感を表明し、アメリカ人はもっと長く働くべきだ、と表明し、話題になりました。
 推定12億ドルの資産を持つフィンクは、1950年代初頭の65歳の若者の多くがすでに亡くなっていたため、引退する機会を得られなかったと指摘し、言い換えれば、社会保障費を支払った労働者の半数以上が、給付金を請求する前に亡くなったため、一銭ももらえなかった時代とは異なり、長寿化が進んでいる時代において経済を維持するためにも高齢者へ就労を求めています。
   今現在のアメリカの定年年齢は65歳とされる事が多いのですが、実際の平均定年年齢は62歳だと言われ、制度的定年年齢より早めにリタイアメントしている事になります。

アメリカの社会保障給付

 アメリカにはソーシャル・セキュリティ信託基金というものがあります。公的年金である老齢・遺族・障害保険(OASDI)は、ソーシャル・セキュリティと呼ばれ、その資金は、独立したソーシャル・セキュリティ信託基金で管理されています。今、ベビーブーマーと呼ばれる第二次大戦終結後からケネディ政権発足前までの1946年から1959年ごろに生まれた世代が老後または引退を迎えます。2026年にはこのベビーブーマーの全てが67歳以上となり、社会的に大きな存在となっています。
  アメリカの社会保障給付は前倒しした場合、(削減はされますが)62歳から給付を受け取ることが出来ます。現在は66歳で満額、2027年以降では、満額で貰えるのが67歳であり、67歳から70歳まで待つごとに、給付額が増えます。68歳まで待つと、社会保障給付の108%を受け取ることができます。これは、70歳まで毎年8%ずつ増加する仕組みになっています。
  話がそれますが、ドイツも年金支給は67歳まで引き上げる予定で、欧米を超える高齢化社会の日本においても確実に年金支給年齢の後倒し(もしくは増税)がなされるのではないでしょうか?
  話を元に戻しますが、このアメリカのソーシャル・セキュリティ基金2033年に資金が枯渇すると見られており、資金枯渇後は支給額が4分の3程度になると言われています。アメリカの場合、日本のような生活保護制度は無いのですが、低所得者の場合SSI(補償的補足給付)と言われる65歳以上の就労が難しい高齢者への給付や、体が不自由な高齢者および高齢者世帯に温かい食事を配達する「ミールズ・オン・ホィールズ」(MOW)や、無料の「公的在宅支援サービス」(IHSS)などのプログラムがあります。弱肉強食のイメージが強いアメリカですが、最低限度の生活は保障されます。さすがに、日本のように高度医療を万人が受けられるところまではいかないものの、高齢者向け福祉制度はある程度発達しています。しかし、これらとて予算がある以上、莫大な人口ボリュームがあるベビーブーマーを支えていくには財政的な危機感を表す声もあるというのがアメリカ人高齢者を取り巻く環境の厳しさです。具体的には、社会保障税の上限引き上げなど、負担を分かち合う議論がなされています。

困窮する高齢者層

 アメリカの4000万人を擁する非営利団体AARP(旧全米退職者協会であり、大統領選をも左右すると言われる高齢者団体)の調査では50歳以上のアメリカ人に向けた調査結果を次の通り発表しています。
・50歳の成人の20%が退職後の貯蓄がなく、半数以上(61%)が退職後の生活を支えるのに十分なお金がないのではないかと心配しています。
・男性の経済的安定感が全体的に低下していることも明らかになり、42%が自分の経済状況を「普通」または「貧しい」と表現しており、2022年初頭の34%から増加しています。しかし、老後のために定期的に貯蓄している男性の約40%が十分な貯蓄をしていると考えているのに対し、女性はわずか30%です。
・3分の1以上(37%)が、食費や住居費などの基本的な費用を賄うことを心配しています。
・4分の1以上(26%)が、家族の介護費用の負担を心配しています。
・10人中7人(70%)が、収入よりも早く物価が上昇することを懸念しています。
・まだ退職していない人の4分の1以上(26%)が、引退することはないだろうと答えています。
 つまり、現在、老後を迎えた(あるいは、これから迎える)世代のうち多くの人が経済的困難な状態にあり、満足したリタイア後の生活が望めないと考えているという事です。AARPは退職に向けた貯蓄をしやすい環境を作るよう米国政府および州政府に訴えかけています。

 また、その一方でアメリカは深刻なな人手不足の状況であり、高齢者を労働市場に残したいとの経済的な思惑が政府や経済界にあるのも事実です。

 これらアメリカ人高齢者を取り巻く環境とその結果は世界的に注目を集めており、その影響はいずれ多くの国々におよぶのではないでしょうか?(なんだか、極東のどこかの国に似てますしね・・・)

 当ブログにお越しいただきありがとうございました。

引用:AARP® Official Site - Join & Explore the Benefits
引用:https://finance.yahoo.com/
引用:https://www.mhlw.go.jp/index.html
引用:A solution to the retirement crisis? Americans should work for more years, BlackRock CEO says - CBS News