限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

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【アメリカの今】若年層~中年層の相続にみるアメリカの親ガチャ(相続)の現状

アメリカ版親ガチャ

 このブログは雑記ブログですが、アメリカ経済・アメリカ社会の今を知ることによって今後の投資活動や資産形成に役立てないかと思いながら、記事を書いています。

 「親ガチャ」という言葉が流行りましたね。元々は、生れた環境は選べず、虐待や教育格差を受けてしまうのは運不運でしかない、児童虐待や荒んだ家庭に生まれた子供を指し、そこからのサバイブをどうするか、という意味ではあったのですが、最近は親が裕福とか「実家が太い(金持ち)」という趣旨で使われます。今回は後者の意味も含めてアメリカの親ガチャ、特に相続について書いてみたいと思います。

アメリカで進む格差

 ニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスでマーケティングを教えるスコット・ギャロウェイ教授はアメリカ社会の格差についてしばしば言及することで知られています。彼の発言の一部を引用します。「私が小さいころディズニーランドに行ったとき、そこには裕福な子、中間所得の家庭の子、低所得家庭の子がいた。
 しかしディズニーランドでは、みんな同じディズニーランドを経験した。みんなチケットブックに9ドル50セント払った。Eチケットをとっておき、「カリブの海賊」の行列に45分並んだ。ディズニーではみんな同じ経験をしたのだ。
 いまディズニーはこう言っている。カネをあまり持っていない人は119ドル。普通の食事をして、順番待ちの列に並んで。少しカネのある人は、170ドル払えばファストパスというものをあげよう。「カリブの海賊」に1時間並ぶことなく、たった10分で入れる。
  そして上位1%の超リッチな人々には、VIPツアーがある。5000ドルであなたと友人6人のグループにツアーガイドが1人つく。特別なダイニングルームでコスチュームを着たキャラクターが給仕してくれる。バックステージにも入れる。列に並ばなくていいどころではない。従業員用エントランスから入れるのだ。」と例え話をし、大学進学においても、かつては進学はやる気と希望さえあれば出来たものが、現在は、多額の費用を必要とし、生れた家庭によって待ち受けえる様々な困難さを指摘し、その解消を訴えています。

ベビーブーマー団塊世代)の巨額の遺産

 しかし、そんな格差を一掃するかのようなニュースが最近、アメリカで流れています。1928年から1945年に生まれたサイレントジェネレーション、そして最大の人口ボリュームを持ち、史上もっともな裕福な世代と言われる1946年から1964年に生まれたベビーブーマーがフェードアウトしていきます。その流れで、今後2020年から2045年までの間に、84兆ドル(1京3千億円)とも言われる巨額の資産が子や孫であるミレニアム世代やX世代と言った若年層に移転(相続)されるだろうと言われています。ミレニアム世代やX世代はサブプライムショックなど経済不況の中で育ち、多額の学生ローン(就職)の支払いを抱えながら就職し、世代間格差を訴えている世代でもありますが、その世代が資産を得て、生活の質が大きく変わるだろう、と注目されています。
   しかし、次世代の全てが潤うわけではありません。ベビーブーマーの資産は連邦準備制度理事会のデータによると、2022 年の 65 歳から 74 歳の平均純資産は約 180 万ドル(2億8千万円)でした。しかし、この数字は富裕層の上位層によって歪められています。中央値では、この年齢層の平均純資産はおよそ410,000ドル(6千5百万円)で、住宅や投資の価値を含む数字です。
  しかし、そんなに簡単に資産の移転があるのでしょうか?
   金融機関のアライアント・クレジット・ユニオンの調査によると、お金を相続すると予想していたミレニアル世代の半数強が、少なくとも35万ドル(5千5百万円)は得られると予想していました。しかし、子供や他の若い家族に資産を遺贈する予定であると答えた団塊世代の55%は、その金額は25万ドル未満(4千万円)になると答えています。
 そして、団塊世代はこれから医療を受ける事が増える世代です。フィデリティの年間退職者医療費の見積もりによると、 65歳の独身者は退職後の医療費を賄うために税引き後約157,500ドル(2千5百万円)が必要で、夫婦は315,000ドル(5千万円)が必要になる可能性があると指摘しています。
   要は、大病、長患いがあれば、平均的な団塊世代の資産はほぼゼロになってしまいます。一部の富裕層を除けば実はあてには出来ない制度であることが分かります。バージニア州アーリントンのファイナンシャルプランナーによると、ミレニアル世代の顧客のうち、相続計画について両親に相談したことがあるのはわずか10%程度だと指摘しています。つまり、親の財産をしっかり把握している人は全体の1割に過ぎないということになります。アメリカは高齢者への公的補助も様々にありますが、その恩恵を最大限受けるということは、資産が限りなくゼロでなくては受けられません、自己負担、自己責任社会であるアメリカでは親の財産を手にするのは一種、バカラのようなものなのかもしれません。
   また、そもそも最初から相続を当てにできない人も当然います。  ベトナム戦をを経てアメリカ移住(従軍した韓国人兵士は市民権を優遇して与えられた)した韓国系アメリカ人は、アジア人のメンタリティとして高齢者の面倒を見るが、少なくとも遺産を残すことは無いだろう、とニュースに答えています。また、黒人やヒスパニックの経済状況に触れ、多くが老後の最残を築けておらず、その生活に不安を抱えているとのレポートもあります。この場合、子供が親の面倒を見ることになり、相続どころか多額の出費をすることもあり得ます。
 結局、親の財産で豊かになれるかどうかは運、不運としか言いようがないということになるのだろうと思いました。
    当ブログにお越しいただきありがとうございました。

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引用:A Wealth Shift That Could Leave Some Younger Americans Behind
引用:NBC News - Breaking News & Top Stories - Latest World, US & Local News | NBC News
引用:金持ちにはわからない「親ガチャ」の悲しさ残酷さ 「日本の未来」を暗示する格差大国アメリカの姿 | 読書 | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)
引用:Forbes