限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

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【アメリカの今】アメリカの国家債務が5千兆円。国民1人当たり1500万へ

5,214兆円の借金。米国民1人1580万円

 このブログは雑記ブログですが、アメリカ経済・アメリカ社会の今を知ることによって今後の投資活動や資産形成に役立てないかと思いながら、記事を書いています。

 アメリカの国の債務(借金)が33兆ドルに達しました。現在、ドル高円安が進み、158円となっているので、換算すると5000兆円を超える債務があることになります。上の図はGDPに占める債務の比率ですが、126.9%となっています。2000年には55%の比率だったものが、伸び続け、コロナのパンデミックではトランプ大統領が2.2兆円を使い、バイデン大統領はインフレ削減法(気候変動対策や医療保険改革)などで、債務上限を上げ続けて現在に至ります。このことは何を意味し、アメリカではどうとらえられてるのでしょうか?

一部に強い危機感を表す声

 財政問題の監視団体、「責任ある連邦予算委員会」のマヤ・マッギネアス委員長は、今回過去最大に達した債務残高を「真に気が重くなる『偉業』」と危機感を表しました。また、別の声明で「我が国の債務レベルは経済と安全保障の両方にとって危険な水準だ。」とも指摘しています。格付け会社フィッチ・レーティングスは昨年8月、米国債の格付けを最上位の「AAA」から「AA+」に1段階引き下げたことも話題になりました。2023年5月、ホワイトハウスの経済諮問委員会(CEA)は、仮にデフォルトが起き、それが長引けば800万人以上の雇用が失われ、株価は半分の水準に落ち込むとの試算を示しました。政府の財務部門はやはり債務に懸念を示しています。他にも、JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、米国債の外国人所有者が「反乱」を起こす前に、米国は債務水準に対処する必要があると述べ、FRBのジェローム・パウエル議長は、米国民は債務水準について「大人の会話」をする時は終わり、現実から目を背けるべきではない、と述べました。高金利が高止まりする中、利払いに問題はないのか、懸念の声は高まっています。多額の債務に対して、保有する海外諸国(1位日本、2位中国)と行った国がアメリカ国債に投資するこをを止めるのではないかとの懸念も多いようです。

アメリカ人の気質

 支出が増加し、債務が膨らむ背景に米国民の気質があると指摘する意見もあります。米国市民は、一般的に借金に抵抗がありません。例えば、2021年には、国内の3分の2以上の人がクレジットカードを所有していたのに対し、フランスでは約38%の人がクレジットカードを所有していました。ちなみに日本人は85%が保有しています。しかしながら中身が違います。日本は異質と言われており、一括払いが主流ですが、アメリカの場合、多くはリボルビング払いやローンをしていることを意味しています。また、BNPL(Buy Now Pay Later)も盛んで、代金後払い(これも借金の一種)も多く行われます。
 しかし、トレンドが変わってきているとの指摘もあります。国際通貨基金(IMF)のデータによると、米国の民間債務の対GDP比は2007年の99%から2022年には74%に低下しています。個人の借金が減っています。一方、フランスの民間債務は、同じ期間に約46%から68%に跳ね上がりました。個人ローンに抵抗があったフランス人の債務が増え、アメリカ人の債務が減っています。
 国としてみても、欧州のいくつかの政府は、歴史的に個人債務と公的債務の水準についてよりタカ派的でした。例えば、ドイツでは、財政赤字を年間GDPの0.35%に制限する憲法上の財政ルールがあります(景気後退時には延長することができます)。この、ドイツ人の気質は民間にも表れていて、ライプニッツ欧州経済研究センター(ZEW)の法人税・財政研究ユニットのザレフ・アサトリャン所長はドイツ人について、「例えば、住宅ローンの借り入れを見ると、ドイツ人の半分しか住宅を所有していません。住宅ローンを組んで住宅を買うのは嫌がるのです」と語っています。持ち家率は日(88.6%)、韓国(78.4%)、アメリカ(67.6%)、スウェーデン(55.3%)、ドイツ(52.1%)の順となります。住宅ローンをかなり嫌うのですね。ドイツの債務比率は対GDP比率64%ですから、国も個人も債務を嫌う国だというのが分かります。
 話がそれましたが、アメリカ人は世界の中でもローンに寛容でありつつ、サブプライムショックなどの金融危機を経験し、お金に対して手堅くなりつつある、と言ったとことでしょうか。

この債務をどう受け止めるべきか

 ムーディーズ・アナリティクスの首席エコノミスト、マーク・ザンディは、「(33兆ドルという数字には)意味がない。実際にはこの数字は、GDPという文脈のなかに存在する。つまり、この債務の元本支払額にかかる利子を返済するために利用できる資金という文脈だ」と述べています。つまり、利払い部分が対処できるか、というレベル感で考えるべきだという事ですね。また、ノーベル賞を受賞した経済学者ポール・クルーグマン(Paul Krugman)によれば、実際のところ、多額の債務残高が発生した国家がその債務を完済するケースはあまりないとの事です。たとえばイギリスの場合、ナポレオン戦争の際に負った債務をいまだに抱えていることを指摘しています(1700年代のコンソル公債(永久債)という特殊な債務です)。アメリカ行政管理予算局(OMB)によれば、2022年におけるアメリカの債務返済額はわずか3950億ドル(約62兆4100億円)であり、これは、同年におけるGDPの1%程度であるので問題はないとの見方です。最初の方で述べた、民間団体やFRB、市場関係者と比べるとかなり楽観的とも言えます。

結論に代えて

 調べて書いている中で、私は、FRB議長や市場関係者の債務への厳しい意見と、ノーベル経済学賞受賞者の割と楽観的とも言える意見を断定し、結論付けることは出来ませんでした。しかしながら、債務に対するハト派でも、利払いの重要性には言及しています。
  圧倒的に多い債務を持つ日本人としては、このアメリカの議論は参考になると思いましたが、いかがでしょうか?

当ブログにお越しいただきありがとうございました。

引用:U.S. panic over national debt might mark a culture shift—are Americans becoming more ‘European’ about money?
引用:米国債務上限問題 市場はデフォルトリスクを警戒 (pictet.co.jp)
引用:米政府がデフォルトに陥る事態に備えよ 債務上限問題が引き起こす | 政治・経済|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
引用:米国政府の債務負担についての考察 | アライアンス・バーンスタイン株式会社 (alliancebernstein.co.jp)
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