限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

自分の興味があるアメリカ経済や投資、普段の雑記的なことを備忘録的に書いていきたいと思います。

【雑談】食料危機のためにコメを備蓄することは税金の無駄だと指摘することについて

税金がもったいない

 読売新聞のニュースで「100万tのコメ備蓄に500億円弱の国費負担、「もったいない」意見あるが…有事なら2か月もたず」という記事が出ています。要約すると、日本には緊急危機対策として100万トンの備蓄米があります。保管費用が年間500億円かかっています。この費用に対し、農水省食料・農業・農村政策審議会食糧部会では、税金がもったいないとの指摘がなされている現状があります。しかし、鈴木宣弘・東京大特任教授(農業経済学)は「国際紛争など有事が起き食料が入ってこなくなると、100万トンのコメ備蓄では2か月ももたずになくなる。少なくとも日本で一番生産が可能なコメは1年間分700万トンを備蓄すべきだ」として議論を深めるべきではないか、としている内容です。
 私も鈴木教授の意見に賛成です。平成のコメ不足も経験した世代でもありますし、記事にもあるのですが、極端に食料自給率が低い日本において2か月程度の食料備蓄を「もったいない」とするのはおかしいと思います。充分、意義のある税金の使い方だと思います。

誰がコメの備蓄を無駄だといってるの?

 記事には発言者が誰なのか分かりませんでしたので、食料・農業・農村政策審議会食糧部会の議事録を読んでみました。
    発言の主は宮島香澄氏(日本テレビ放送網株式会社報道局 解説委員)でした。少し流用すると
「今の現代人は、お米があればそれで満足だと、お米があればそれで食料安全保障は足りるというわけにはなかなかいかないと思う」
「考え方としては備蓄、やっぱりお金が掛かっていると思うし、もったいないお金だと思うんです。」
「新しく必要な食料安保の別の要素に対して一部のお金を使うとか」
「皆さん、予算の確保と仰いますけれども、この予算の確保そのものが、人口減で極めて厳しくなっています。」

と発言されています。この会議は「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」に関する会議ですので、実質、全否定ですね。様々な意見が出されている、という面では良いのですが、やはり、強い違和感がありました。食料備蓄は続けて欲しいと思います。

宮島香澄氏

 ちなみに、この方がどんな方なのか気になりました。名前は出さずとも批判的な記事を書いたのは読売新聞です。日本テレビとはグループ企業であって、それなりに考えがあり、この記事が出たのだと思います。(グループ企業であっても、正しいと思う記事を出したという意味では今回の読売新聞は評価して良いんじゃないでしょうか?)

 日本テレビの紹介では、専門分野「経済全般、社会保障、多様化・知財 地域政策」と今時流行ってるものを一通りおさえてるようです。また、肩書として財務省財政制度等審議会の委員であり、他にも省庁の審議委員をいくつかやっているようです、その、財政制度等審議会について、議事録を読んでみましたが、ここでも、筋違いの税金の無駄を指摘する意見のオンパレードでした。

・過疎地域の医師不足に対して  → 予算を求める前に工夫を‼
・過疎地域の自治体運営について → 予算を求める前に工夫を‼
・教員の不足について      → 予算を求める前に工夫を‼

とにべもありません。もちろん、宮島氏の言う面もあります。人口減少していく中で、やみくもに税金をつぎ込むのは無理でしょう。地方にしても、千数百ある自治体全てを予算でフォローするのは限界があると思います。しかし、次の発言を聞いて、やはり、この方の考え方に疑問が出てきます。

教育現場の人手不足についてです

「保護者の立場から見ると、もちろん教員がみんな同じ質だったらよいのですが、恐らく質が低い教員2人よりも、質が良い教員1人に見てもらったほうが自分の子が伸びるのではないか」
「塾などでも今行われている、よい教師のリモートの授業・・・のが学力を伸ばすことができる」
「能力がそれぞればらばらなこどもに対して全く同じ授業をしても、結局のところ、吹きこぼれと落ちこぼれの両方をつくっているということはもう分かっている」
iPadがこれだけ普及している」
「諸外国と比べてもできているように見えない」

 としています。私は受験対策に特化した学習塾のリモート授業と、公教育は違うと思います。コロナ渦でも活用されたリモート授業の全てを否定はしませんが、子どもの個性を伸ばしたり、部活など課外教育や時としていじめの問題、トラブルを避けるうえでも、基本的には教師は教室にいるべきですし、この方が求めている(であろう)、生徒の習熟度別の選別教育を行うなら逆に、必要な教師の数は増えるのではないかと思います。今ある教育に乗せて、性教育や金融教育、消費者教育など多様な教育を求められる学校現場でリモートの活用は必要でも、それで全てを補えるほど、教育は甘くないと思います。
 ついでに書くと、この「諸外国」って言い方が様々な問題で頻繁に出て来るのですが、具体例は無いようです。また、自治体の人手不足等について「つまり、国によって就労を決めるという社会主義的な意味ではなくて」という発言があるのですが、その一方で、これからは、国が必要な産業分野に必要な数を投入できるような仕組みを作るべき、と言った、自由主義、資本主義を否定するかのような発言もあります。
    エリート意識が強いのでしょうが、筋違いな不満と意見を持っている気がします。このような人間がテレビ局、それも大手キー局の幹部なのかと思うとがっかりしました。
  出来れば、中央官庁はこのような人間を重用しないで欲しいと思います。

 当ブログにお越しいただきありがとうございました。

引用:100万tのコメ備蓄に500億円弱の国費負担、「もったいない」意見あるが…有事なら2か月もたず(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
引用:食料・農業・農村政策審議会食糧部会 議事録(令和5年7月31日開催):農林水産省 (maff.go.jp)
引用:宮島 香澄(みやじま・かずみ)|日本テレビ解説委員/経済部/|日テレNEWS NNN|日本テレビ系NNN30局のニュースサイト (ntv.co.jp)
引用:財政制度等審議会 財政制度分科会 委員名簿 : 財務省 (mof.go.jp)