限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

自分の興味があるアメリカ経済や投資、普段の雑記的なことを備忘録的に書いていきたいと思います。

ニューヨーク・ウーバーイーツは問題だらけ⁉

フードデリバリーを巡る問題

 ニューヨークでの問題です。タイトルにはウーバーと書きましたが、今回問題となっているアプリ業者はウーバー(UberEats)だけではなくドアダッシュ(Doordash)、グラブハブ(Grubhub)の3社となります。
   まず、問題となっているのはチップ問題です。ニューヨーク市議会で公聴会が開かれデリバリー配達員が賃金問題などを訴えました。
    背景となっているのは賃金インフレです。日本と同じ問題の構図なのですが、昨年までニューヨーク市内のアプリの配達員の時給は平均で約11ドルで、市の最低賃金15ドルをはるかに下回っていました。自営業者の扱いだからです。しかし、配達員らの提訴を受けてアプリで働くフードデリバリー配達員に17.96ドルの定額時給とチップを支払うか、配達ごとに1分あたり約50セントを支払う判決が出ました。時給2,855円です。
    当然、そうなるとアプリ業者は価格に転嫁せざるを得ません。そこで、UberEats等はアプリのチップを支払うオプションを配達後の最後にもってきて、顧客に対して、チップを払いにくくするようにしました。結果、チップは激減しました。それを受けて、今年に入り、配達員は市議会の公聴会で待遇改善を訴えたという流れです。配達員と配達員を支援する議員は払われるべきチップ8,500万ドル(およそ135億円)が奪われた、と訴えています。
そのような中で市議会はいくつかの法改正の提案をしました。
・無料の自転車を提供し、自転車が安全基準を満たしていることを確認すること
   (昨年、電動自転車で97件もの発火・火災があったため)
・配達員の待機時間をカバーするのではなく、移動を完了するのにかかった時間だけを支払うが代わりに時給29.93ドル(およそ4,760円)、時給17.96ドルを設定した最低賃金を支払うこと
の2点を提案していますが、アプリ業者は猛反発しています。今後に注目です。

凄い労働条件だな。しかし、食事代も跳ね上がりそうだね。

 一方、アプリ業者側も動いており、自らが支援する議員が検討している「苦境に立たされているレストランを支援するためにコロナ渦に実施されたアプリ事業者へ払う手数料の上限を緩和する法案」を支持しました。レストランがアプリ事業者に払う手数料を現在の5%の上限から最大25%を請求できるようにするためです。アプリ業者は同時に手数料規制で失った10億ドル(1,590億円)の損害賠償を求める裁判も起こしています。ちなみに、この動きの中で、手数料の上限緩和を支持するレストランオーナーの署名が出回っていますが、オーナーは勝手に名前を使われた、と訴えるなど混乱を極めています。

なんか収集つかないね。何が事実なのか。また、こっちの問題でも食事代がさらに跳ね上がりそうだね。

 最後に、この一連の騒動をみた、マスコミのコメント欄(ヤフコメみたいなもの)の一部を紹介します。批判的な意見が多い印象です。フードデリバリーが隆盛を極めてるので理解ある人が多いのは事実ですが、配達員の交通マナーが問題になったり、渋滞の原因になり、現にニューヨークでは配達員の総数を規制する法律が可決されたりしている現状があります。

配達員への問題意識もあるんだね。課題多いね。

・嘘なんかついて、アプリ業者は議員に対するサポートが悪い。昔からある、議員の親族に架空の仕事を与えたり、親族が運営する非営利団体に寄付する方がうまくいくんじゃないか。
・ここはニューヨークだ。コロナは終わった。自分で食事を食べに行けばいい。
(返信コメントで)その方が暖かい食事が食べられるね。
・文句ばかり言うなら配達の仕事辞めろ。
・数年前まで電話一本で済んで何も問題が無かったのに、なんでアプリばかりなんだ?
・彼らのおかげで、ニューヨークには自転車やモペットが増えて、混雑している。事故の危険性もあるし、その危険性のために保険料まで上乗せされている。
・私は(仕事柄)多くのレストラン経営者と会ってきたが、皆、グラブハブを嫌っていて、寄生者だと思っている。
・(もっともGoodボタンが押されたコメント)時給が上がるのは素晴らしい事に見える。だが、結果として食事の価格が上がり、ビッグマックもピザも配達員には手が届かない価格になるんじゃないか?(そうやって配達員が食べれなくなっていなくなれば)逆走や横切り、歩道の占拠なくなり、安全になるかもしれないけどね。
・トーマス・ソーウェルは言った。「政府は自由に最低賃金を定められるが、実質の最低賃金はゼロだ。(ソーウェルは、最低賃金を無節操に引き上げると、最終的に仕事の総量が減り、失業者を生む場合すらある、と指摘しました)
・時給18ドル+チップ。あらゆる交通法規を無視する対価だね。年間6万ドル以上の仕事だ。
・よく配達員が信頼できるな。客の家の芝生に気に入らない政治的主張があったり、配達員の人種への考えによっては、何をしてくるか分からないぞ。
(コメントへの返信)私はピザを頼みましたが、何の問題もありませんでしたよ。

普通に真面目にやってる配達員もたくさんいるはずだけどね。

 アメリカならではの要素もふんだんにありますが、アプリ配達は日本でももっと普及してくるでしょうし、いろいろと考えさせられる問題だと思いました。

 当ブログにお越しいただきありがとうございました。

引用:Food delivery workers slam 'greedy apps' over tips, safety during heated City Council hearing (nypost.com)