限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

地元と東京を行き来する日々。自分の興味があるアメリカ経済や投資、普段の雑記的なことを備忘録的に書いていきたいと思います。

【日本】なぜ、余った牛乳を捨てて、バターが不足するのか

生乳を捨ててバターが高い日本

今日、パンを食べました。家族が新しいバターを買ってきていたので、使いました。普通に美味しかったです。私はマーガリンも好きなんですが、家族はバター派です。個人的にはイチゴジャムとブルーベリーのジャムの違いくらいに思うのですが、人によってはマーガリンは代用品という気持ちもあるようですね。エシレバターとか食べましたが、それはそれです。マーガリンは塗りやすいし、美味しいのに、マーガリン。

ところで、今回のバターは画像にある通り「ニュージーランド産」です。国産品はかなり高価になってるところもあり、こちらの品がスーパーの一押しだったようですが、そもそも、しょっちゅう、生乳の余剰が問題になってるのにコスパを重視するスーパーが、なぜ、ニュージーランド産一押しなのか背景を調べたのでブログに書いてみたいと思います。

畜産家や業界の事情

背景として、乳牛は出産して乳牛としての役割を果たすまでに3年かかるということ。2年半に子牛を出産して、その後に乳牛になります。この期間の長さが調整の難しさを産みます。また、牛は夏に弱くて(北海道で畜産が盛んな理由でもあります)、冬に強く、同じ頭数の乳牛でも、夏の生産が減って、冬が増える習性があります。しかし、消費者としては暑い夏に飲み物としての牛乳に需要があり、冬はその需要が低下します。生き物ゆえに一定の供給が保たれないとのことでした。また、成分も季節により異なります。 単価の問題もあります。一番高く売れるのが牛乳、二番目がクリームやチーズ、最後に来るのがバターです。様々な条件がありますが、飲用は1リットル120円で取引されるのに、加工品は75円程度で買われるという現実もあります。

そいういう条件が重なるうえに、加工側の処理能力があります。乳牛メーカーの処理能力は70000トンと言われていますが、畜産家の生産能力は75000トンあり、差の5000トンが生まれます。単価の安いバターはその余剰の5000トンの中でやりくりしているのが広い意味での乳製品業界の実態だそうです。その5000トンを減らせば良いのか、というと総生産の1割にも満たない生乳を前述したような生き物相手には出来ません。また、コロナ渦を経て、需要の変化もあり、乳製品を取り巻く環境は日々変わっている現状もあります。少子化で学校給食の需要が低下している現状もあるそうです。

結果、需給調整が完璧で消費率100%という結果にはなりにくく、ある年はバターが不足し、ある年は牛乳を廃棄することになります。これについては政府(税)での牛の食肉処理に補助が出ていることもあり、もっとギリギリまで調整しろ、というご意見もあるのかもしれませんが、実態を調べるとある程度、やむを得ない面もあるかと思いました。

私はなんでもマスコミの責任にするのは好きではありませんが、ニュースで処理能力最大70000トンから生産能力最大75000トンの間の5000トンの上下があり、気候も左右し、その中で、低単価のバターなどをやりくりしている背景がある事を伝えれば、私のような疑問を持つ人は減るんじゃないかと思うのですかいかがでしょうか?普段のニュースでは生産者も客側も誰も幸せにならないような気もします。国も従来型の配合飼料多給による乳量偏重の乳用牛から、長命連産性に重きを置いた強健な乳用牛への経営転換を図る政策を打ち出しています。

センセーショナルに生乳廃棄‼、バター不足‼と繰り返し報道してばかりでは、生産者と消費者から顧客の気持ちが離れるばかりだと思いました。

今回、ニュージーランド産のバターが冷蔵庫にあったので調べたことを簡便に書いてみました。

当ブログにお越しいただきありがとうございました。

参考文献:「農林水産省畜産統計および「乳用牛長命連産性等向上緊急支援事業関係」
参考文献:井出留美「「余った生乳5000トンはバターにすれば廃棄せずに済むのに」乳業業界の回答とは?」
参考文献:木村充慶「生乳なぜ余るの? 牛乳廃棄問題「バターにする」では解決しない理由」
参考文献:四つ葉オンラインショップ「なぜ起こる? 生乳需給バランス崩れのお話し」