限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

自分の興味があるアメリカ経済や投資、普段の雑記的なことを備忘録的に書いていきたいと思います。

【アメリカの今】インフレ目標を2%から3%にすべき⁉FRB高金利へのプレッシャー

インフレ目標2%とは何か?

今、アメリカのFRBアメリ連邦準備制度理事会)の政策が世界中の注目を集めています。ERBのインフレ目標2%に対し、アメリカ経済は一時期よりもインフレが抑えらているものの、依然としてコアCPI(食料品やエネルギーを除いた商品とサービスの価格変動を測定する指標)は3%台後半であり、景気の過熱感を打ち消すことができず、高金利政策を続けています。

一方、日本でも日銀は黒田総裁、植田総裁も物価上昇率2%を目標にしています。しかしながら、なぜ「目標は2%」なのか、実は学術的な根拠は乏しいと言われています。世界で初めて2%を目標としたのはニュージーランドでした。80年代、ニュージーランドは2桁の高いインフレに悩まされ続け、新たなインフレ目標を決めた政策を打ち出します。その率は、当初は0~2%と定められましたが、1996年12月に目標レンジが0~3%に拡大され、2002年9月からは、目標レンジは1~3%に修正されるなど、複雑な経緯を辿っています。この時代、イギリスやカナダもインフレに悩まされており、それぞれ、4%~1%の目標を定めることになりました。そして、それが世界中に広がるとともに、上の図のように世界各国が2%の目標を定めるに至りました。
FRBはウェブサイトに2%の目標は「雇用の最大化と物価の安定という連邦準備制度理事会(FRB)の使命に最も合致する」と記載しています。しかしながらアカデミックな裏付けがある訳ではなく、そもそも物価の安定を目指すなら0%こそが正しい目標ではないか、との指摘すらあります。

過熱感が収まらないアメリカ経済

こちらの表はバンク・オブ・アメリカのグローバル・ファンド・マネジャー調査の結果です。回答者の36%が、今後12カ月間の世界経済にとって最も可能性の高い結果は「ノーランディング」だと考えていると答えました。これは、1カ月前に結果が出た23%から大きく上昇しています。ソフトランディングを目指すFRBにとっては嫌なシナリオでもあるでしょう。
こういうった現状を受けて、アメリカ政界からは、FRBインフレ目標2%を見直すべきだという議論が出てきています。米国下院金融サービス委員会の上級民主党議員マキシン・ウォーターズ議員は高金利によって市民の生活が圧迫していることについて、金利を下げることを提案し、2%目標にこだわるFRBを批判しています。同じく民主党のアヤナ・プレスリー下院議員も高金利政策を見直すようFRBに申し入れています。

アメリカの高金利は、住宅ローン金利を7%近くにまで押し上げました。クレジットカードの金利も平均16%強から21%をはるかに超える水準まで上昇しました。生活費や緊急的な費用に使われる個人ローンも2022年のFRBの利上げ開始時の8.73%から2023年11月には12.35%に上昇しました。これら高金利政策の結果によって、アメリカ政界のリベラルからは、市民を苦しめる元凶の一つがFRBの高金利政策であるとしています。

そのため、メディアなどからも2%目標にこだわるパウエル議長を批判し、CPI等にこだわらず、ポジティブな経済指標が出ているならそれらを柔軟に採用し、金利の引き下げを行うべきだという論調も出ています。

なかなか出口が見つからないアメリカ経済ですが、アメリカの動きは日本経済に直結するので最近の動きをまとめてみました。蛇足ですが、こういう現状をみると、日本経済の現状はなんとも頼りないものなんだな、と感じてしまいます。

当ブログにお越しいただきありがとうございました。
引用:日本政策投資銀行(DBJ)
引用:Yahoo Finance - Stock Market Live, Quotes, Business & Finance News