限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・雑記です。

自分の興味があるアメリカ経済や投資、普段の雑記的なことを備忘録的に書いていきたいと思います。

【アメリカの今】アメリカでの持ち家VS賃貸論争について

アメリカでの持ち家VS賃貸論争

 このブログは雑記ブログですが、アメリカ経済・アメリカ社会の今を知ることによって今後の投資活動や資産形成に役立てないかと思いながら、記事を書いています。

日本では永遠の論争と言われる持ち家派と賃貸派の論争ですが、アメリカでも購入かレンタルかで意見が分かれています。ネットでの議論も盛んです。その一部をご紹介します。以下は米国の投資のコラムのを引用しつつ私の見解としています。

 アメリカでも家を買うことは、人々が人生で下す最大の経済的決定と見なされることがあります。あるいは資産形成の第一歩という意見もあります。その結果、賃貸と比較して購入が正しい選択であるかどうかはやはり悩むようです。そして、その決断は、米国経済の将来予想と実際に訪れる将来の米国経済によって異なる結果になるという事です。

 アメリカ経済のインフレ率や投資の平均的リターンを前提として賃貸がお得なのか購入がお得なのかを計算することとなります。たとえば、家の家賃が月額4,000ドルで、同じ家を購入すると、住宅ローン、固定資産税、メンテナンス、保険で月額7,000ドルかかる場合、最初は月額約3,000ドルを節約でき、この3,000ドルを多様なポートフォリオに投資できます。

 住宅購入者はローンの返済後に住宅価格がどのようになっているか、を気にするでしょうし、賃貸で済ませた人は頭金分を投資したことによる、平均的な投資のリターンを得たとして、30年後にどちらが経済的に有利な状況にあるかを計算してみます。

どちらが有利かの前提条件

家を借りる場合の前提条件

家賃:賃貸に関連する主な費用は、毎月支払われる家賃とその家賃のインフレによる上昇率です。(アメリカでは家賃は物価上昇率ともに引き上げられます)。

引っ越し費用:必ずしも多額ではありませんが、賃借人が住宅事情を変えるたびに支払われる引っ越し費用を組み込む必要があります。これを年間1,000ドルと仮定しました(そしてインフレによる調整があります)。

インフレ:インフレが続けば、賃借人は時間の経過とともに一貫して上がり続ける家賃を支払わなければならないため、賃借人の懐具合に大きな影響を与えます。他の条件がすべて同じであれば、将来のインフレ率が低くい場合は、家賃の値上がりもなく、賃借人に利益をもたらします。しかし、将来のインフレ率の上昇は、資産価値がインフレに対応して値上がりをもたらし、家賃の値上げから逃れられるので、住宅所有者に利益をもたらします。
さらに重要なことは、賃貸インフレ率が全体的なインフレ率をわずかに上回る傾向があることです。アメリカでは1940年以降、家賃は年間約4.8%(名目ベース)上昇しており、同時期のインフレ率を約1%上回っています。
ポートフォリオ・リターン:分散ポートフォリオのインフレ率を上回る利益です。米国株は歴史的に見ても分散型投資の利益は年率7%程度ですが、オールカントリーのようなグローバル型インデックス等に投資した利回りとしては、4%です。あえて少なめなこちらの4%を仮定条件にします。
頭金:賃借人は、頭金を住宅ではなく分散ポートフォリオに投資することを前提としています。今回は総額のの価値の23%であると仮定します。つまり賃借人は30年に及ぶローンの頭金を30年の長期投資に回せるという計算になります。

購入する場合

住宅ローンの支払い::現在のアメリカ社会では30年固定金利ローンの場合、6.5%程度で借りれます(アメリは固定金利がメインです)
住宅維持費:アメリカの多くの専門家は、毎年不動産の価値の約1%をメンテナンスに費やすと推定しています。百万ドルの家では、これは$10,000/年か$833/月に相当します。
住宅所有者保険:洪水、火災、地震対策になります。住宅所有者保険は、毎年不動産価値の0.5%〜1%の費用がかかる傾向があるため、低めの0.5%を採用します。
固定資産税:アメリカの全ての州の平均約0.84%を採用します。ただし、ハワイのように0.3%だったり、ニュージャージーのように1.79%の場合もあります。
インフレ:インフレは住宅価格が上がるので、賃借人が受けるであろう、家賃の値上げを避けることが出来きますし、自身の資産額が増えます。そういう意味で購入者にとってメリットがあります。「ノーベル賞を受賞した経済学者ロバート・シラーは、1915年から2015年までの米国の住宅のインフレ調整後リターンは『年率わずか0.6%』としています。これは、上記の1940年にさかのぼる賃貸価格の1%の上昇(インフレ率を上回る)と重なります。したがって、米国の住宅価格は今後、家賃と同じペースで上昇するか、全体的なインフレ率よりも約1%高くなると想定します。

計算後

 前述の計算でシュミレーションした場合ですが、緑色が結果を示しています。賃貸購入者は約450万ドルの資産を築くことが出来たのに対して、持ち家の価格は約400万ドルなので、30年後、賃貸派の人は50万ドル(7,500万円)多くの財産の形成に成功するということです。
しかし、仮定条件をわずかに変えると結果は一変します。

 変数を 1 つだけ変更します。たとえば、毎月の住宅ローンの支払いを4,000ドル(800,000ドルを借りた場合の4.4%の30年固定住宅ローンに相当)に落とすと、今度は購入が優先されます。賃貸派が313万ドルの資産しか築けていないのに、住宅価格は400万ドルを超える価値を持ちます。つまり、持ち家か賃貸かは、このコラムでは住宅購入はインフレに対するヘッジにしかならないとしています。今、現在、アメリカはかなりのインフレに悩まされています。ですので、高金利なのですが、そうなると住居を買うには適さない状況です。しかしながら、家賃も高騰し続けているため、家賃の高騰に付き合うなら、高金利でも住宅を購入し、とにかく毎月の支払額をロックしてしまおうとする人も出て来る現状であり、これも、インフレへのヘッジと言えるでしょう。

 もちろん、子どもの家庭環境など様々な事を考えれば、その家庭や個人の環境によるので、そこを考えずに、持ち家か賃貸かをオンラインで論争することはあまり意味を持たないであろう、としています。

 アメリカ社会らしいですね。1例ではありますが、賃貸派は浮いたコストを投資に回し、いくらの財産を30年後に築けるかという観点での議論がなされています。また、ライフサイクルによって住み替えを行うアメリカ人にとって、自宅は「終の棲家」というより、資産、投資としての意味を持ちます。
マイホームに一生住む、あるいは、投資というものに積極的ではなく、持ち家か賃貸かをインフレを加味しない総コストのみで比較する日本人の発想とも違うことが分かります。今後インフレが続くとまた、違う見方が出るかもしれませんね。以上がアメリカでの持ち家VS賃貸の論争の一片でした。

当ブログにお越しいただきありがとうございました。

引用:https://ofdollarsanddata.com/