限界ギリギリのサラリーマンのセミリタイアを目指す海外経済・投資・節約・雑記です。

40代サラリーマンです。地元と東京を行き来する日々。自分の興味があるアメリカ経済や投資、節約術、子育て、普段の雑記的なことを備忘録的に書いていきたいと思います。

高齢者医療のために現役世代の人間ドックを取りやめることについて

人間ドックの打ち切りのお知らせ

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私は、会社で総務を担当していました。ですので、給料から福利厚生などの仕事もしていました。グループ企業で健康保険組合がつくられており、広報誌なんぞに関わっていました。健康保険組合の財政が厳しいことは聞いており、人間ドックの補助額などが削減されることがありました。しかし、今回は、ごく一部の条件を除いて実質打ち切りのお知らせでした。

 

健康保険がなぜ赤字になったか

 

理由はいろいろあります。給与事態が減っている事、外注化などで人員削減が進み加入者(支え手)が減っている事などがあります。しかし、最も大きな理由は「前期高齢者納付金」と「後期高齢者拠出金」です。

 

健康保険の仕組み

 

健康保険は、4月から6月の、給与、諸手当、通勤手当の合算額の平均です。
例えば
基本給 250,000円
営業手当 30 ,000円
通勤手当 20,000円
とすると、合計300,000円 となり、ここに例えば80/1000を乗じた額になります。(会社により異なりますが、大体、この程度です)。結果として、30万円の給与なら、24,000円 が毎月徴収され、このうち12,000円が労働者、残り12,000円が会社負担となります。団塊の世代後期高齢者になるころには30,000円を超えると思います。かつてはボーナスからは健康保険料は支払いませんでしたが、今は、ボーナスからも支払います。通勤手当からも引かれます(ここは高齢者に知って欲しい事実です。何らか理由があって遠くから通う事=多めの交通費=支払いが高率になる)。

 

ざっくりですが、2万人程度の加入者がいれば100億円くらいの収入になります。で、その中で、高齢者への支援金がいくらかと言うと、35億円を超えるくらいの金額を、国を通して高齢者に配分するわけです。このお金は人件費ですから、極論ですが35億円分の人件費があれば、数百人は雇用が生まれるとも言えるわけです。

 

高齢者は親であり、自分の将来でもある

 

高齢者福祉は重要です。シルバー世代の金融資産は1000兆円とも言われますが、消費者としても、重要な存在でもあります。今、現役世代も含めて消費が伸びないのは将来不安による貯蓄重視の日本人のスタイルが景気低迷の一つの要因と言われていますが、消費や投資を活発化するなら、ある程度の将来像を改めて提示することが必要だと思います。

 

人間ドックの打ち切り

 

題名に戻ります。ここまで書いてきたとおり、高齢者の増加による負担が現役世代の負担の増加につながっています。そのため、健康保険組合は各自で支出削減を進めています。それがジェネリックの推奨であったり、市区町村のがん検診などの受診の勧めであり、私の会社でいえば各社の人間ドックを止める代わりに健康診断のいくらかの充実をお願いするとともに、健康保険組合が行っていた人間ドック補助の打ち切りです。

 
今回の件ですが、氷河期世代リーマンショックの関係で、人間ドックすら受けられない人もいる事実は忘れてはいけませんが、ある程の割合の高齢者は同世代を支える側に回って欲しいものです。しかし、現役世代の予防医療の削減で高齢者を支えるっておかしなものです。他の企業グループでも同様の取り組みが進んでいるとの説明を受けたのですが、現役世代の予防医療のお金を削って、高齢者に回して、現役世代の病気の発見が遅れたら、元も子のないと思うのです。金の卵を産むガチョウ(ってほど稼いでいませんけどね。少なくても私は)を殺したら入る金も減るんじゃないかと思います。

 

もちろん、安直に高齢者医療をざっくり切ることはできません。しかし、高齢者にはこの事実を知って欲しいのです。事実を確認してこそ、現実的な負担の議論になるわけですから。